Twilight Outtakes Vol.2〜トワイライトのアナザーバージョン


4つあるTwilight Outtakes。今日は第2弾で、「アリスとのお買い物」をざっと読んでみようと思います。もちろん、あくまでも「ざっと」です。私の語学力じゃ太刀打ちできない内容ですからね。ただし、第1段の「プロムの別バージョン」は本編と重複している箇所が多かったので、解説調にしてかいつまんでみましたが、この「アリスとのショッピング」は本編とかなり異なる(情報量が桁違いです)ので、解説調というよりは、まるっきり翻訳調になってしまいました。下手くそなんですけど、読んでみてください。


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窓が濃いスモーク仕様のつやつやした力強い車は、まるで動物がのどをごろごろ鳴らすようなエンジン音をたてながら、夜を駆け抜けていく。ジャスパーはまわりに注意をはらうこともなく、片手で運転してる。でもその運転は完璧だった。アリスはあたしと一緒に黒革の後部座席に座ってくれた。長い夜の間ずっとあたしの頭はアリスの御影石のような肩にもたれかかっていた。彼女は冷たい腕であたしを抱き寄せてくれて、頬をあたしの頭に押し当ててくれてた。アリスの薄手のコットンシャツはあたしの涙でぐっしょり濡れてしまってる。あたしの息遣いが荒くなると、彼女はまるで歌っているかに聞こえて、勇気がでてくるような早口のソプラノでささやいてくれた。あたしは落ち着くと、エドワードと身体的なつながりを感じさせるような、アリスの冷たい肌に意識を集中してみた。
アリスとジャスパーは、あたしがパニックに陥るたびに大丈夫だよと保証してくれた。着るものやお金のことは全く心配するなとも言ってくれた。あたしはその言葉を信じようとしたけれど、ロザリーから借りたあたしにとってはキツくて着心地の悪い服のせいで心が波立った。
ドライブは順調だった。ジャスパーは時速120マイル以下に速度を落とすことなく車を走らせつづけてる。制限速度のことなんてまったく気にしてないみたいだけど、パトカーにあうこともなかった。単調なドライブをたった2回だけ給油のための停車が妨げた。2回ともジャスパーが車から出ることなく勘定をすませるのをあたしはぼんやりと見てた。夜が明け始めたとき、あたしたちのいる場所は北カリフォルニアのどこかだった。雲ひとつない夜明けの空にさしこんだ薄明かりがあたしの目につきささる。あたしは疲れ果ててたけど、眠気はあたしをかわしていく。あたしの心の中は不吉なイメージでいっぱいだった。チャーリーの傷ついた表情、歯をむきだしにしたエドワードの恐ろしい咆哮、トラッカーのするどい目つき、ローランのゆがんだ顔、そして最後のキスをしたあとのエドワードのうつろな目つき・・・・それらがスライドのように脳裏を過ぎていく。あたしの心は恐怖と絶望のあいだをさまよっていた。

サクラメントであたしに食事をさせるために、アリスはジャスパーに車を止めるように言った。でもあたしはのろのろと首をふって、そのまま車を走らせてとうつろな声でたのんだ。数時間後にロサンゼルスの郊外についたあたりで、アリスはふたたび彼にそっと車を止めるようにたのんだ。ジャスパーはあたしの弱々しい抗議には耳もかさずに高速を降りた。巨大なショッピングモールが前方に見え、ジャスパーはそこへ向かい、地下一階の駐車場に車を停めた。
「車で待ってて」とアリスがジャスパーに言った。
「大丈夫なのか?」と気がかりな返事。
「だって、何もみえないもの」。ジャスパーはうなずいた。アリスはあたしの手をとって車の外にでた。あたしの手をにぎり、ぴったりと身体を寄り添わせたまま暗い駐車場の中をすすんでいく。彼女は駐車場を出ると、日陰を選びながら歩いていく。もちろんあたしは日に照らされた舗道では、彼女の肌がどう見えるかを充分承知してた。ショッピングモールはたくさんのお買い物をする人々でごったがえしていた。その中にはふりかえってあたしたちを見る人もいた。あたしたちは直射日光を避けながらデパートの2階にたどりついた。

蛍光灯にさらされたお店の中に一旦入ってしまうと、アリスはただ単にちょっと目をひく、色白で、目の下にくまがある、黒髪をつんつんたたせた女の子ってかんじでそんなに目立たなくなった。でも、あたしの目の下にできたくまはアリスのよりもっと黒々してるってわかっていた。あたしたちはまわりに注意を払いながら歩いていった。あたしはまわりの人たちがじろじろ見るのが不思議だったんだけど、きっと薄いふわっとした洋服をまとった天使のような顔立ちのアリスが踊るように歩きながら、着ているものは高そうなんだけど髪はねじれててよたよた歩くぶざまなすがたのあたしの手をひいているのが気になったんだろう・・・。アリスは迷うことなくあたしをフードコートに連れていった。「なにが食べたい?」。ファストフードの脂っこいにおいはあたしの胃をひっくり返したけれど、アリスの目に説得されて気乗りしないながらもターキーサンドを選んだ。列に向かうまえに「洗面所に行きたいんだけど」と頼んでみた。
「いいわよ」彼女はあたしの手をにぎったままくるっと方向をかえた。
「一人で行けるわ」と言ってみる。昨夜の災難から一転した、普通に雰囲気につつまれた一般的なショッピングモールではそうするのが普通に思えたから。
でもアリスは「ごめん、ベラ。でももしあたしが一瞬たりともあなたから目を離したなんてエドワードが知ったら・・・・・」。彼女の声は不吉な結果に思いをはせたせいかだんだん弱々しくなってしまった。それでも、アリスは混雑した洗面所の外で待っていてくれた。あたしはまわりのびっくりしている女の人たちを無視して顔をごしごし洗った。そして手ぐしで髪をととのえようとしたけれど、すぐにあきらめた。アリスのもとにもどると、彼女はあたしの手をとってゆっくりと列にもどった。あたしは足をひきずるように歩いたのに、彼女はちっともいらいらしたそぶりをみせなかった。ゆっくりだけど、だんだんあたしの食欲がもどってきたのを彼女はじっと見てた。あたしがコーラを飲み干してしまうと、彼女はあたしから目をそらすことなく、一瞬だけどそばを離れておかわりを買ってきてくれた。あたしが食べ終わったとき「気乗りしてないみたいだけど、もっと食べなくちゃ」と言われてしまった。
「狩りの方がずっとエキサイティングなんだろうなあと思って」と言ってみると、アリスは「あなたにわかるわけないわよね」とにっこりと笑った。その笑顔にまわりの何人もの人々がくぎづけになる。
食べ終わりごみを捨ててしまうと、彼女はショッピングモールの大通りを歩いていく。彼女の目は輝いて、何かないかなってあたりを見回してる。高級ブティックの前で足をとめると、サングラスを女性用を2つ男性用を1つ計3点買った。あたしが見る限り、店員はアリスが見慣れない金のラインが入ったクレジットカードを出したときに、おやと思ったみたい。それから、アクセサリーショップに行ってヘアブラシとゴムを買う。でも彼女の本領発揮はここからだった。あたしの行きつけではないようなお店に入っていく。ここのお店で売っている靴下の値段ときたら・・・・あたしの買える範囲ではなかった。「ベラのサイズは2ね」質問ではなく断言した。彼女はあたしを荷役のロバに仕立ててあたしがふらつくほどの量の洋服を買い込んだ。彼女の服のサイズは一番小さいサイズみたい。彼女が自分のために選ぶ服はどれも軽い素材でできてるけど、できるだけ彼女の肌をかくせるようなデザインの、長袖か、床までとどく長さのもの。最後に、山のような洋服の上につばの広い黒の麦藁帽子をぽんと載せた。お店の女の子は見慣れないクレジットカードにさっきのお店の店員と同じような表情をみせたけれど、へりくだって応対してた。「ミス・・・・・・」彼女がアリスを呼んだけれど聞きなれない名前。たくさんの袋を腕にぶらさげ、お店を出てからアリスに聞いてみた。「さっきお店の女の子はあなたのことなんて呼んだの?」
「レイチェル・リーって呼んだのよ(註:トワイライト映画化にあたり、ステファニーさんはアリス役にレイチェル・リー・クックをご指名しているので、このネーミングなのですね)。あたしたちはね、トラッカーから追跡されないように細心の注意をはらっているの。さあ、着替えに行くわよ」。
アリスは洗面所にむかうと障害者用のブースにあたしを連れて行った。袋をごそごそかき回す音が聞こえたかと思ったら、ドア越しに青いコットンのドレスをなげてよこした。あたしはロザリーに借りた長すぎてキツいジーンズを脱ぎ捨てた。そしてぐいっとドレスを着ると脱ぎ捨てたジーンズをアリスに投げ返した。すると、ドアのしたからやわらかな革の素材のサンダルがすっと差し込まれた。うわ、びっくり。いつの間に買ってたの・・・?ドレスはあたしによく似合ってる。外に出ると、アリスがロザリーの服をごみ箱に捨ててるところを目撃した。「スニーカーはとっておいてね」といわれたので、バッグの一番上にそっと載せた。それからあたしたちは駐車場へと戻った。帰り道はアリスはたくさんの荷物を持っているおかげで、さっきよりは肌がカバーされてめだたなくなってる。ジャスパーはトランクをあけてくれた。まずあたしの荷物を持ってくれると、アリスに冷ややかに笑いながら言った。「ぼくも行ったほうがよかったかな?」
「そうね」とアリス。「女性トイレについてくるならね」。
ジャスパーは返事をしなかった。


ここまでで、半分です・・・・。長くなるので、また後日。