Twilight Outtakesの続きの続きの続き

あと2ページ・・・これまた大変そうですが、頑張ります。

窓越しに見慣れた風景が見えてきた。渋滞もしていない。あたしたちはダウンタウンを抜けて、北方向はスカイハーバー国際空港方面、南方向はテンペ方面に続く環状線に乗り入れた。干上がったソルトリバー沿いにいけば、ほどなく空港へ着く。ジャスパーはアリスの指示で高速を降りた。彼女の的確な指示で、たやすくエアポートヒルトンのエントランスに着いた。あたしはモーテルに泊まるとばかり思ってた・・・・。そういえば、お金の心配はしなくていいんだっけ・・・・。車止めへと乗り入れると、二人のベルボーイが車へとさっと寄ってきた。黒いサングラスをかけて、さっそうと車から降り立ったジャスパーとアリスはまるで映画俳優のよう。それにひきかえあたしときたら、狭い車内にずっといたとはいえ、よたよたと車を降りる。ジャスパーがドアを開けるとベルボーイたちがへりくだってあたしたちのショッピングバックをカートに積みはじめた。彼らはよく訓練されていてあたしたちの荷物の多さをみても表情ひとつ変えない。車の中はおちついた色調でひんやりしていたけれど、昼下がりのフェニックスの街に一歩踏み出すと、日陰にいてもあたしの頭は焼け付くようだ。その感覚にこの日はじめてホッとした。

ジャスパーはすいているロビーを自信たっぷりに歩いていく。アリスはあいかわらず注意深くあたしのそばにぴったりとついてくれている。ベルボーイたちはそんなあたしたちの様子が気になるみたい。ジャスパーは堂々とした雰囲気をたずさえながらレセプションへと進んでいく。
「ボウワーだ」。いかにもベテランって感じの受付嬢に向かってジャスパーは言った。彼女はすばやく予約を確認しながら日ごろのプロ意識をかなぐりすてて、彼女の目の前に立っている素敵な金髪の青年をちらちら盗み見ている。あたしたちは二つのベッドルームがある大きなスイートへと通された。あたしがぐったりとソファーに座り込み、アリスが踊るように他の部屋を見にいっている間にベルボーイたちはてきぱきと荷物をおろしていく。ジャスパーはもういいよってかんじで手を振って二人を部屋から出した。彼らがドアの向こうに消えると、ようやくホッとした。あたしたちはやっと3人きりになれた。
ジャスパーは窓のところに行くと、カーテンをしっかりと閉めた。アリスはあたしの膝にサービスメニューをぽんと置いて「何か頼んで」とうながす。物憂げに「いらないわ」と答えると彼女はあたしをにらみつけ、メニューを取り返した。エドワードみたいにブツブツ言いながら電話を手にとる。「アリス、ほんとなんだってば」と言いかけたけど、彼女の目つきに圧倒されて黙ってしまう。あたしはソファーに寝転ぶと目を閉じた。
ノックの音で目が醒めた。あたしは飛び起きたけど、その瞬間ソファーから滑り落ちて床へと転げ落ち、そばのテーブルに思いっきり頭をぶつけてしまった。「もうっ!」あたしは呆然としながら頭をさする。ジャスパーの笑い声が聞こえてきた。彼のほうを見ると、口を引き締めて一生懸命笑うのをこらえている。アリスもドアのところで唇をきゅっと結んで笑わないように口元を引き締めてる。あたしは真っ赤になってソファーへと倒れこむと頭をかかえてうずくまった。そこへ、あたしの食欲をそそるようなステーキ、チーズ、にんにく、ポテトの匂いが漂ってきた。アリスは何年もウェイトレスをしているかのような手馴れた手つきで膝の前のテーブルに運んできてくれる。「ベラは栄養をとらないとね」。彼女はあたしを諭しながら、銀製の覆いを取る。繊細な細工のポテトに縁取られた大きなステーキがお皿に載っている。「エドワードがここに着いたときに、あなたの血から貧血のにおいしかしないと、きっとがっかりするでしょ」。
あたしは彼女のジョークはもっともだと思った。
おいしそうな匂いに食欲がそそられる。食べ始めるとすぐ、体内に力がみなぎってくるのがわかった。糖分が血の巡りをよくさせる。ジャスパーとアリスはあたしのことは無視してテレビをみながら、あたしの聞き取れない言葉で何事かすばやく話している。
2度目のノックの音がした。あたしはまたもやとびあがってしまって、すんでのところでお皿をひっくり返してしまうところだった。「ベラ、ちょっとは落ち着きなよ」とジャスパー。アリスはドアのところで応対している。掃除係が彼女にヒルトンのロゴが入った小さな袋を手渡している。アリスはすばやく受け取りあたしに手渡してくれる。あけてみると、歯磨きセットをはじめ、身支度に必要なものが一通り入っていた。それらはピックアップの中に忘れてきたものばかり。目から涙が溢れ出してきた。
「ホントにホントにありがとう!!」感極まって、言った。
あたしは、ジャスパーがいつもあたしから注意深く距離をとっていることはちゃんと判っていた。でも驚いたことに、ジャスパーはすっとあたしのそばにくると肩に手を置いた。「だって、仲間だろ」(註:ここの訳は絶対まちがってそう。「You're part of coven now」ってどう訳せばいい?。coven=「魔女の集会」じゃないよね。動詞もいろいろ探したけどわかんない)ジャスパーは暖かい笑顔でからかうように言ってくれる。その途端とてもけだるくなって、眠気があたしを襲う。まぶたが重くてもうあけてられない・・・・。「お見事、ジャスパー」。アリスが皮肉っぽくいうのが聞こえる。彼女の冷たい腕があたしの膝の下と背中の後ろに回された。ベッドへと運んでもらうまでに、あたしは眠りに落ちていた。

次の日、あたしはすごく早く起きた。夢もみずに良く寝たので、いつもの寝起きより冴えていた。部屋は暗かったけれど、ドアの下から灯りがもれている。あたしは手を伸ばすとベッドサイドの照明を捜す。頭の上で灯りがつき、あたしは思わずうめいた。アリスが膝を抱えてそばにいて、灯りをつけてくれたのだ。「ごめん」。そういうと、彼女はあたしが楽な姿勢になるようにまくらを背中の下に差し込んでくれた。「あれはジャスパーが電気をつけっぱなしなの。リラックスできないわね」
「ううん、いいの。消せなんていわないでね。ジャスパーがあたしをリラックスさせてくれなかったら、こんなにぐっすり寝られなかったんだから」
彼女はくすくす笑いながら言った「気付いてたの?」。
「頭をフライパンでたたかれたとしても、あんなにぐっすりは寝られはしないわ」と言ってみると、アリスは笑ったままで肩をすくめて「寝ないとだめよ」と言った。
「そんなことより、シャワーを浴びないと!!」あたしはまだ青いドレスを着たままなのに気付いた。もうしわだらけになってしまってる。歯を磨いていないから口もねばつく。
「あのね、おでこにあざができてるわよ」。アリスはバスルームに向かうあたしにむかって忠告してくれた。
シャワーを浴びてさっぱりすると気分もよくなった。あたしはアリスがコーディネートしてベッドの上に並べておいてくれた、迷彩色のシルクのシャツと黄色がかった茶色い麻のショートパンツを着た。あたしが持っている服の中で、これより素敵な服はないわ・・・・ふとそう思った。
なんと言っても、頭がさっぱりしたのは気分がいい。ホテルのシャンプーはこのうえない品質であたしの髪はつやをとりもどした。ドライヤーで髪を乾かしてみると完璧なストレートの出来上がり。こんな日は気分がいい。でも、鏡に近寄り注意深く観察してみると、まゆの上にあざができていた。やれやれ・・・・。

ジャスパーとアリスのところに行ってみると、二人はソファに座り、ほとんど音をしぼっているテレビをじっと見ている。テーブルの上には、また食べ物が運ばれていた。「食べて」とアリス。あたしはおとなしくしたがって、何をたべてるか気にもせず食事をはじめた。でも気付いた。彼らの表情は何かヘンだ。あまりにじっとしすぎてる。彼らはテレビを見ているんじゃない、眺めているだけだ。CMになってもあいかわらず眺めているだけ。あたしはトレイを押しやった。アリスはほとんど手をつけてない食事を見て不機嫌そうだ。
「なにがあったの?」そっと聞いてみる。
「なにもないわ」と大きくて正直そのものってかんじの目つきであたしを見つめていってくれたけど、あたしは信じなかった。
「じゃあ、なにしてるの?」
「カーライルが電話をくれるのを待っているだけよ」。
「もうそろそろ連絡がある頃じゃないの?」というと、図星だったみたい。アリスは彼女の革のかばんの上においてある携帯を見てから、あたしへと視線を向けた。
「どういうことなの?」声が震えてしまう。なんとかコントロールしようとする。「まだ電話がこないって・・・・?」
「それはね、まだなにも連絡することがないからよ」。彼女の声は落ち着きすぎてる。急にあたりが緊張感でいっぱいになり、息が苦しくなる。
「ベラ」。ジャスパーのあやしいくらいなめらかな声が聞こえる。「きみはなにも心配することはないんだよ。ここにいる限り、きみはぜったい安全だ」
「あたしが何を心配してるかわかるっていうの?」あたしは不信感もあらわに聞いた。
「なんだって?」彼はびっくりしているみたい。彼はきっとあたしの感情の大まかな感じのことはわかっても、その後ろにある理由のことまではわからないのね・・・・。
「ローランがなんていったか聞いたでしょ」低い声であたしは言った。二人にはちゃんと聞こえてるはず。「彼はね、ジェームズは凶暴だって言ったのよ。何か悪いことがおきてしまったらどうするの?みんながバラバラになったりとか。誰かにもしも何かあったら・・・・カーライルか、エメットか、それともエドワードに!」あたしはうめいた。「もし仲間の女がロザリーかエズミを傷つけたりしたら・・・・」あたしの声はどんどん高くなり、ヒステリックになるばかり。「あたしのせいでそんなことになったとしたら、この先もう生きていけない!!あたしのためなんかに誰も危険な目にあわせたくないわ!!!」

「ベラ、ベラ!やめるんだ!」ジャスパーがあたしをさえぎった。そして流れるように言う。「きみは悪いことばかり考えすぎなんだよ、ベラ。ぼくを信用して。ぼくたちはだれひとりとして危険な目になんかあってない!。きみは考える必要もないのに悪いことばかり考えて、かなりのストレスにさらされているだけだ! ちゃんと聞くんだ!!!!」目をあわさないあたしにジャスパーがいい放つ。「僕たちの家族は強いんだよ。完璧だ。僕たちがたった一つ恐れているのは、きみを失うことだ」
「でも、どうして・・・・」
こんどは、アリスがあたしをさえぎった。冷たい指であたしの頬をなぞりながら言う。「ほとんど1世紀もの間、エドワードはひとりぼっちだったの。そして、やっとあなたを見つけた。そのことは私たち家族にとっても、とても重要なことなのよ。もしもエドワードがあなたを失うようなことになったら、この先ずっと私たち家族の誰一人として彼と目をあわすことなんて出来ないわ」。
彼女の深い色をした瞳をみつめているうちに、あたしのやましい気持ちはゆっくりと和らいでいった。おだやかな気持ちがひろがっていく。でもそれは、ジャスパーのあたしへのプレゼントであって、あたしの本当の気持ちではないことはわかっていた・・・。


こんなかんじです。「Alice」と「she」。「Jasper」と「He」の使い分けを訳すのが意外と大変でした。日本語だとくどくなりますからね。でもときにはちゃんと「誰が」という部分をいれないと「誰の」行動かわかりにくいので、しんどかったです。あとしらない単語ばっかりだったりとか、自分が覚えていた意味が違ってたりとか(泣)・・・・。
というわけで、読みにくい駄訳にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

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「アリスとのショッピング」をここまで詳しく訳しちゃったら、「プロムの別バージョン」がはしょりすぎのような気がしてきました。「アリス〜」は6ページ、「プロム〜」は7ページ。それにしてははしょりすぎちゃいましたね。自分のためにも、もう一度読み直してみますね(あーあ、言っちゃった)。