浅田次郎さん作「シェエラザード」上下巻を二日で読了。


実家の父が浅田次郎さん作品が好きで集めています。実家に帰ったときは貸してもらって読んでます。「勇気凛々ルリの色」シリーズは大好き。でもその他のシリアス路線はあまり好きではありませんでした。なぜなら「お涙ちょうだい」色が濃いような気がするから。

そんな私ですが、本屋さんでふと手にとった「シェエラザード」。そもそもリムスキー・コルサコフ作「シェエラザード」の音楽が好きだったので気になっていた本です。ぱらぱらと読み始めたらすぐに物語にひきこまれました。即刻購入です。

家に帰ってすぐに読み始めたら、もうすっかり物語のとりこです。

戦争中に捕虜のための食料を運ぶために「決して攻撃されない」ように緑十字の旗を掲げて航行していた「弥勒丸」。戦争さえなければ軍に徴用されることもなく東京―サンフランシスコ間の豪華客船として華々しく活躍していたはずの船です。捕虜のために食料を運ぶ・・・・・というと美談に聞こえますが、その裏には軍の思惑〜敗戦の色が濃かった戦争末期、シンガポールにある日本軍の資産を上海に移す〜がありました。食料を捕虜のために運んだ見返りに帰路の安全が保障されていた船を利用したのです。その企みが連合国側に筒抜けなのを見越して、資産だけを乗せたなら絶対攻撃されるのは一目瞭然、それならばシンガポール在住の日本人を「資産を守る人間の盾」として乗せられるだけ乗せて行ったのです。日本軍の思惑は見事に外れ、2000人以上の民間人を乗せた弥勒丸は日本軍の膨大な資産とともに台湾沖に沈んでしまいます。

沈んでしまった弥勒丸を引き上げたいと名乗り出た台湾の要人が現代の日本でくりひろげる工作に絡んで、戦争当時の弥勒丸の人々シンガポールの人々の話がたくみに絡み合っています。戦争当時の人が現代の日本で意外な形で存在する・・・とても面白いです。

弥勒丸という船は実在しませんが、戦争中にやはり民間人2000人以上を乗せて海の藻屑となった実在する「阿波丸」という船がモデルです。だからリアリティ抜群です。

シェエラザード」。NHKでもドラマ化(反町隆史長谷川京子)されています。DVD2枚組です。ぜひぜひ観てくださいね。
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シェエラザード(上) (講談社文庫)

シェエラザード(上) (講談社文庫)

シェエラザード(下) (講談社文庫)

シェエラザード(下) (講談社文庫)

R.コルサコフ:シェエラザード

R.コルサコフ:シェエラザード