トワイライトで翻訳抜け発見……


つい先日英語圏の方とお話する機会があって(へどもどしちゃいました)、いろいろな話題がでました。ファッションの話などもあって、スカート丈の話になったときに急にあることを思い出しました。それは!おととしの1月に「Twilight Outtakes」の話題を書いたとき http://d.hatena.ne.jp/nohachan/20060119/ プロムの別バージョンのところでベラのプロムの衣装の丈が「tea-length」と書いてあったのがどうしてもわからなかったこと。今回お話した方はファッションにも精通されている方だったので勇気を出して聞いてみると「知らない」といわれてしまったのですが、「多分teaというのはイギリス英語で「夕食」という意味もあるのでディナー向けのドレスの丈〜つまりそんなには短くもなくおそらく膝より下の長さなのでは?」と教えてもらいました。


帰宅後、本編ではどういう描写だったのかな?と思いひさしぶりに原書を取り出したところ……


あれれ?


この描写多分翻訳版にはないよ…という箇所発見!それは「トワイライト3」の「エピローグ」の部分。228ページに「アリスとエズミの着せ替え人形にさせられるなら、もう遊びになんか行かない」という部分。原書では482ページ目にあたるのですが、

「I'm not coming over anymore if Alice is going to treat me like Guinea Pig Barbie when I do," I griped. I'd spent the better part of the day in Alice's staggeringly vast bathroom, a helpless victim as she played hairdresser and cosmetician. Whenever I fidgeted or complained, she reminded me that she didn't have any memories of being human, and asked me not to ruin her vicarious fun. Then she'd dressed me in the most ridiculous dress---deep blue, frilly and off the shoulders, with French tags I couldn't read--- a dress more suitable for a runway than Forks. Nothing good could come of our formal attire, of that I was sure. Unless...but I was afraid to put my suspicions into words, even in my own head.

「アリスの(エズミの名前は書いてありません!)着せ替え人形になるならもう遊びになんか行かない」とあたしは文句を言った。一日のほとんどをあたしはアリスのびっくりさせられるほど広いバスルームに軟禁されてた。そこでアリスはスタイリストさながらに振舞ってあたしはその憐れな犠牲者ってわけ。あたしがそわそわしたり文句を言ったりするたびにアリスはあたしに自分には人間の頃の記憶がないってことと、楽しみを奪わないでと釘をさしつづけてた。そしてアリスはあたしにとんでもないドレス(直訳はばかばかしいドレスですが、それじゃあんまりです)---深みのある青で、フリルがひらひらしてて肩があらわになるタイプ。フランス語のタグがついているけどあたしには読めなかった---を着せた。ドレスはフォークスなんかで着るよりも(ファッションショーの)ランウェイウォークの上のほうがふさわしいってかんじがする。フォーマルなドレスを着たってなにもいいことがないんだから。でも…あたしは自分の疑いを口にだすのが怖かった…あたまのなかで考えることすらも。


「一日のほとんどを というところから ランウェイウォークの上のほうがふさわしいってかんじがする」っていう部分が抜けてるんですね。たった2、3行ですけど、「フランス語のタグがついている」というところが肝心なんです。というのも、「Eclipse」でアリスがベラに結婚式のドレスを用意する場面がありますが、そこで出てくるのが「ペリーヌ・ブリエール」というフランス人丸出しの名前のデザイナー。アリスのお気に入りのデザイナーさんです。


あまりあらすじに関係ないところなのですが、一箇所みつけただけでも、「ほかにあるんじゃないのかな?」とか「それがもしも重要なところだったらどうしよう」などと、性格が悪いもので思ってしまいます。


スティーブン・キングの長編を読んでみて、あらためて原作者の方と翻訳者の方の力量を思い知らされました。翻訳者さんにもいろいろあるんだなって。と英語がダメダメの私がえらそうに言うことではないというのは重々承知はしていますが、一応「翻訳者」としてメシ食ってるんだったら……てなことを思っちゃダメですか?