Twilight Outtakesから「Emmett and the Bear」


この別バージョンは、原作本では第14章、日本語版なら第2巻の野原でのデートの帰り道の車の中での会話から「エメットがカレン一族に加わった訳」の部分を、エメット本人の口から語らせるという手法をとっています。それだけでなくて、コミカルな部分&スリリングな部分も加えられてます。


今日は寒かったですね。寒さに強い人も弱い人も、人気ブログランキングへ!!



あたしは、あるぞっとする出来事が起きて以来、エメットとあたしの間に奇妙ともいえる共通点が芽生えてきているのに正直びっくりしていた。ぞっとする出来事というのは、あたしたちが互いに愛し愛される家族みたいな存在になるにはどうしたらいい?ということを語り合ううちに起こってしまったことだった。エメットは(あたしをヴァンパイアにさせる)「奇跡」についてエドワードに考えさせてくれる、あたしにとってのたった一人の理解者だった。


その話題が最初に出たのは、ある日の夕方3人でソファに座っていたときのことだった。エメットはあたしに、おとぎ話なんて目じゃないような思い出話を聞かせてくれていた。その傍らでエドワードは一心不乱にテレビの料理番組を見てる。エドワードは料理をモノにするって断固決めてたけど、あたしは内心無理なんじゃないかなって思ってた。だって、料理は味覚と嗅覚なくしてはなりたたないから。それに、「料理をするエドワード」なんてピンとこないし・・・。一流シェフが味見するところを眉をひそめながら見ているエドワードを見て、あたしは思わず微笑んでしまう。


「そいつがおれをもてあそぶのをやめたとき、自分が死んだってわかったのさ」。エメットはある一匹の熊によって自分の人間としての人生の幕がおろされたときのことを柔らかな口調で語り始めた。その話をもうすでに知っているエドワードは関心を示さない。
「おれは動けなかったし、意識もかすんでた。そのうちおれの“死体”を巡って熊同士が争いはじめる音が聞こえてきた。と、急におれの身体が宙に舞ったように感じた。おれは死んだって自分で確信してたけど、一生懸命目をあけて何が起こったか見ようとした。そこで“彼女”を見たんだ」。彼の表情は信じられない想いで一杯だった。あたしも同じ気持ちになる。
「おれは自分が死んだってわかってたけど、何の痛みも感じてなかった。彼女の天使みたいな顔を一瞬たりとも見逃したくなかったから、必死でまぶたをあけようとした。おれは錯乱してただろうから、なかなか天国にたどりつけないのは、そこが予想以上に遠い場所だからなんてことを考えてたよ。そして彼女がもう一度おれを宙に舞わせて“神様”のところに連れていってくれるのをひたすら待っていたんだ」エメットは低くて太い声で笑った。あたしは“例の仮説”を容易に想像できた。
「おれは自分の身に何が起こったのか考えた。人間としての20年間はそこそこいいものだったから、地獄の炎をみたときはぎょっとしたよ」。ここであたしは思わず震えてしまった。震えたあたしをエドワードが無意識に抱きしめてくれる。
「何が驚いたかって、天使がそばから去らなかったことさ。おれはうれしかったけど、どうして地獄にいるおれのそばから、この美しい天使が去っていかないのかてんで理解できなかった。神様はいつもそばにいてくださったはずだから、彼女を天国へ連れ去っていかないか、とても不安だった。でも神様はそんなことはなさらなかった。おれは牧師が慈悲深い神様に彼女を連れ去っていかないように頼んでくれたのかななんてことも考えてたよ。そして、すべてが終わり痛みが去ったあとで、カーライルとロザリー〜おれの天使〜がすべてを説明してくれたのさ」あたしは心の底から感動しながらうなずいた。


エメットはくすくす笑いながら続けた。「おれはルールをちょっとやぶってみようと思ってる。ベラ、おれに手首を差し出す気はない?」そう言って、あたしをしっかり抱きしめてくれているエドワードの肩を冗談半分ってかんじでこづいた。
エドワードは画面から目を離すことなく鼻で笑う。
「もうわかってると思うけど、天使がそばにいてくれるのであれば、地獄もそう悪くないぜ」茶目っ気たっぷりって感じで言う。「避けては通れないこの問題をエドワードが受け入れてくれれば、きみも満足だろ?」
その途端、エドワードの拳が目にもとまらない速さで動き、エメットはソファの後ろにふっとんで大の字に倒れた。エドワードは相変わらず画面から目を離していない。
エドワード!!!!」あたしの声は恐怖でいっぱい。
「心配するなよ、ベラ」エメットは全く動揺せずにソファへと戻ってきた。「エドワードのことはよくわかってる」。あたしの肩越しにエドワードの横顔をじっと見つめてる。「いつかおまえはベラをヴァンパイアにするさ」。脅すような口調だった。
エドワードはぞっとするようなうなり声をあげた。

「あなたたち、どうしたの!?」騒ぎを聞きつけたエズミの声が聞こえてきた。




どうですか?短いながらもすごい内容!!本編がほんの数行で終わってることを思えば、少しはこのOuttakesを生かしてほしかったなと思うのは私だけ?

写真は昨日のヴァンキッシュを正面から撮ったもの。イギリスが原産の車だから右ハンドルなんですね。カレン家のヴァンキッシュは果たしてイギリス仕様?それともアメリカ仕様?


今日もつたない訳(誤訳もあるはずです)でしたが、ご感想をいただければ励みになります。明日以降は、4編あるOuttakesのうち、未読の「バドミントン」を勢いに乗って読もうかなと考えてますが、はっきりいって本編とほぼ同じです。が、ここまで調子に乗ったからには4編とも紹介するのが筋でしょう。というわけで、頑張ります。頑張るためにもご感想をお願いします(くどい!)